- 歌の意味
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春の荒れた田を耕し返すように、一度は思いが絶えてしまった人が、また恋しくなることよ。
- 鑑賞
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巻第十三 恋歌三 812
詞書「題しらず」
春の荒れた田を耕し返すように、一度は思いの絶えた人がふたたび恋しくなると詠む歌である。上の句の春の田を打ち返す景が序詞となり、忘れたはずの恋がよみがえる心のさまを、田を返すことに重ねている。
初句「梓弓」は、弓を「張る」ことから「春」にかかる枕詞である。
二句「春の荒田を」は、春の荒れた田を、の意である。前歌の第八百十一首の三句「春の田を」と、春の田を共有している。
三句「うちかへし」は、田を「打ち返し」と、思いがくり返し立ち返る意を掛ける掛詞である。初句から三句までが序詞となる。前歌の「かへすがへす」と、「返す」の語を共有している。
四句「思ひやみにし」は、思いが絶えてしまった、の意で、「に」は完了の助動詞「ぬ」の連用形、「し」は過去の助動詞「き」の連体形である。
結句「人ぞ恋しき」は、その人が恋しい、の意で、係助詞「ぞ」を受けて「恋しき」と連体形で結んでいる。前歌の結句「人は恋しき」とほぼ同じ結びで、二首が対をなしている。
あづさゆみ:梓弓。梓の木で作った弓
あらた:荒田。荒れたままの田
うちかへす:田を「打ち返す」意と、思いがくり返し立ち返る意を掛ける
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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忘らるる時しなければ春の田を かへすがへすぞ人は恋しき
- 次の歌
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かの岡に萩刈る男縄をなみ 練るやねりそのくだけてぞ思ふ