我が背子をならしの岡の呼子鳥
君呼び返せ夜の更けぬ時
- 歌の意味
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ならしの岡の呼子鳥よ、私の夫を呼び返しておくれ。夜が更けないうちに。
- 鑑賞
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巻第十三 恋歌三 819
詞書は前の歌に続き「題しらず」
ならしの岡の呼子鳥に、夜が更けないうちに夫を呼び返してほしいと願う歌である。人を呼ぶような声で鳴く呼子鳥に、帰ってしまった夫、あるいは訪れのない夫を呼び戻してほしいと託している。
作者の「山辺赤人」は山部赤人である。奈良時代の宮廷歌人で、柿本人麻呂と並び称され、三十六歌仙に数えられる。
万葉集巻十に類歌が収められている。
初句「我が背子を」は、私の夫を、の意である。前歌の第八百十八首の初句と同じ句である。
二句「ならしの岡の」は、「ならし」が大和の歌枕の「奈良思の岡」と、夫を通い「慣らし」の意を掛ける掛詞である。前歌の結句「山の名ならし」と、「ならし」の音を共有し、前歌の山に対しこの歌は岡を詠んでいる。
三句「呼子鳥」は、人を呼ぶような声で鳴く鳥で、カッコウの類とされる。
四句「君呼び返せ」は、あなたを呼び返せ、の意で、命令の形で願いを表す。三句の「呼子鳥」と「呼ぶ」の語を重ねている。ここで句切れとなる。
結句「夜の更けぬ時」は、夜の更けないうちに、の意で、倒置して四句の願いの時を示している。
ならしのをか:大和の歌枕の「奈良思の岡」と、通い「慣らし」の意を掛ける
よぶこどり:呼子鳥。人を呼ぶような声で鳴く鳥。カッコウの類とされる
- 作者
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山部赤人
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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我が背子をきませの山と人は言へど 君も来まさぬ山の名ならし
- 次の歌
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来ぬ人をまつちの山の郭公 同じ心に音こそ泣かるれ