野も山も茂りあひぬる夏なれど
人のつらさは言の葉もなし
- 歌の意味
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野も山も草木が茂り合う夏であるけれども、あの人のつれなさには、言葉の葉さえもない。
- 鑑賞
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巻第十三 恋歌三 828
詞書は前の歌に続き「題しらず」
野も山も草木が茂り合う夏なのに、つれない人からは葉にたとえられる言葉の一つもないと嘆く歌である。夏の草木の茂りと、便りの一言さえない恋人のつれなさとを対比している。
初句「野も山も」は、野も山も、の意である。
二句「茂りあひぬる」は、草木が茂り合っている、の意で、「ぬる」は完了の助動詞「ぬ」の連体形である。前歌の第八百二十七首の「夏野の草の繁くとも」と、夏の茂みを共有している。
三句「夏なれど」は、夏であるけれども、の意で、「ど」は逆接を表す。
四句「人のつらさは」は、あの人のつれなさには、の意である。
結句「言の葉もなし」は、言葉の一つもない、の意で、「言の葉」の「葉」は二句の「茂り」の縁語である。前歌が噂の多さを夏草にたとえるのに対し、この歌は言葉のなさを詠み、多いものと無いものとが対をなしている。第八百四十一首の初句「言の葉も」と同じ語を用いている。
ことのは:言の葉。言葉。「葉」を草木の葉に掛けて用いる
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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人言は夏野の草の繁くとも 君と我とし携はりなば
- 次の歌
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夏草の茂みに生ふるまろこすげ まろがまろ寝よ幾夜経ぬらん