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皆人の笠に縫ふてふ有馬菅
ありて後にも逢はむとぞ思ふ

歌の意味
誰もが笠に縫うという有馬菅の、その名のように、生きながらえて後にも、あなたに逢おうと思う。
鑑賞
巻第十四 恋歌四 858

詞書は前の歌に続き「題しらず」
 誰もが笠に縫うという有馬菅の名のように、このまま生きながらえて、後にでもきっと逢おうと思うと詠む歌である。今は逢えなくても、時を経てでも逢いたいという、恋を持ち続ける強い思いを詠んでいる。
 作者の「人まろ」は柿本人麻呂である。飛鳥時代の宮廷歌人で、万葉集を代表する歌人として歌聖と仰がれ、三十六歌仙に数えられる。拾遺和歌集には、万葉集の歌が人麻呂の作として多く収められている。
 万葉集巻十二に、初句を「人皆の」とする類歌が収められている。

 初句「皆人の」は、誰もが、すべての人が、の意である。
 二句「笠に縫ふてふ」は、笠に縫うという、の意で、「てふ」は「といふ」がつまった形である。
 三句「有馬菅」は、摂津国有馬に生える菅で、笠を編む材料とされた。初句からここまでが、同音の「ありて」を導く序詞となっている。
 四句「ありて後にも」は、生きながらえて後にも、の意である。「有馬」の「あり」を受けて、生きてあり続ける意を表している。
 結句「逢はむとぞ思ふ」は、逢おうと思う、の意で、「む」は意志の助動詞、係助詞「ぞ」を受けて「思ふ」と連体形で結んでいる。

ありますげ:有馬菅。摂津国有馬に生える菅。笠を編む材料とされた
作者
柿本人麻呂
出典
拾遺和歌集
前の歌
真澄鏡手に取り持ちて朝な朝な 見れども君に飽く時ぞなき
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伊香保のや伊香保の沼のいかにして 恋しき人を今ひと目見む