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陸奥の安達の原の白真弓
心こはくも見ゆる君かな

歌の意味
陸奥の安達の原の白木の弓が強く張っているように、心が強情に見えるあなたであることよ。
鑑賞
巻第十四 恋歌四 905

詞書は前の歌に続き「題しらず」
 陸奥の安達の原で作られる白木の弓が強く張っているように、強情でなびかない心に見えるあなただと詠む歌である。陸奥の名産の弓の強さに、思い通りにならない相手の心のかたくなさをたとえている。

 初句「陸奥の」は、陸奥国の、の意である。前歌の第九百四首の三句「陸奥の」と、陸奥を詠む点を共有している。
 二句「安達の原の」は、陸奥国の安達の原の、の意である。安達は弓の材料となる檀の産地として知られた。
 三句「白真弓」は、檀の木で作った白木の弓のことで、初句からここまでが、弓の張りの強さから「こはく」を導く序詞となっている。
 四句「心こはくも」は、心が強情にも、の意で、「こはし」は弓が強い意と、心がかたくなである意を重ねている。
 結句「見ゆる君かな」は、見えるあなたであることよ、の意で、「かな」は詠嘆を表す。本巻の第八百八十首の結句「とはぬ君かな」と、「君かな」で相手を嘆く結びを共有している。

あだちのはら:安達の原。陸奥国の地名。弓の材料となる檀の産地
しらまゆみ:白真弓。檀の木で作った白木の弓
作者
よみ人しらず
出典
拾遺和歌集
前の歌
逢ふことのかたかひしたる陸奥の こまほしくのみおもほゆるかな
次の歌
年月の行くらん方もおもほえず 秋のはつかに人の見ゆれば