我が帰る道の黒駒心あらば
君は来ずともおのれいななけ
- 歌の意味
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私が帰っていく道の黒駒よ、心があるならば、あの人が来なくても、お前だけでもいなないておくれ。
- 鑑賞
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巻第十四 恋歌四 911
詞書「題しらず」
私が帰っていく道の黒駒よ、心があるのなら、あの人は来なくても、せめてお前だけでもいなないて名残を知らせておくれと呼びかける歌である。来てくれない恋人への思いを、馬への呼びかけに託している。
初句「我が帰る」は、私が帰っていく、の意である。
二句「道の黒駒」は、道を行く黒駒よ、の意である。前歌の第九百十首の結句「歩め黒駒」と、黒駒を詠む二首が並び、前歌が恋人のもとへ急ぐのに対し、こちらは帰り道を詠んで対をなしている。
三句「心あらば」は、心があるならば、の意で、「ば」は順接の仮定を表す。
四句「君は来ずとも」は、あの人は来なくても、の意で、「とも」は逆接の仮定を表す。
結句「おのれいななけ」は、お前だけでもいなないておくれ、の意で、「おのれ」は二人称、「いななけ」は命令形である。前歌の「歩め」と同じく、命令形で馬に呼びかけて結んでいる。
いななく:嘶く。馬が声高く鳴く
おのれ:己。ここでは、おまえ
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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よそにありて雲居に見ゆる妹が家に 早く至らむ歩め黒駒
- 次の歌
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嘆きつつひとり寝る夜の明くる間は いかに久しきものとかは知る