人にだに知らせで入りし奥山に
恋しさいかで尋ね来つらん
- 歌の意味
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人にさえ知らせないで入った奥山に、恋しさはどうやって訪ねて来たのだろうか。
- 鑑賞
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巻第十四 恋歌四 914
詞書「行ひせんとて山に籠り侍りけるに、里の人に遣はしける」
人にさえ知らせずにひっそりと入った奥山なのに、恋しさだけはどうやってここを探し当てて来たのだろうかと詠む歌である。恋しさを、訪ねて来る人のように擬人化し、俗世を離れても断ち切れない恋心を詠んでいる。
詞書によれば、仏道修行のために山に籠っていたときに、里にいる人に贈った歌である。
初句「人にだに」は、人にさえ、の意で、「だに」は最小限のものを示す。
二句「知らせで入りし」は、知らせないで入った、の意で、「で」は打消の接続助詞、「し」は過去の助動詞「き」の連体形である。前歌の第九百十三首の「人入る山」と、山に入ることを詠む点を共有している。
三句「奥山に」は、山の奥深くに、の意である。
四句「恋しさいかで」は、恋しさがどうやって、の意である。恋しさを、人のように訪ねて来るものとして擬人化している。
結句「尋ね来つらん」は、訪ねて来たのだろうか、の意で、「つ」は完了の助動詞、「らん」は原因を推量する助動詞である。
おこなふ:行ふ。仏道の修行をする
たづぬ:尋ぬ。たずねる。探し求める
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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なげき樵る人入る山の斧の柄の ほとほとしくもなりにけるかな
- 次の歌
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影絶えておぼつかなさのますかがみ 見ずはわが身の憂さも知られじ