住吉の岸に向かへる淡路島
あはれと君を言はぬ日ぞなき
- 歌の意味
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住吉の岸に向かい合う淡路島、その「あは」という名のように、「ああ、いとしい」とあなたのことを言わない日はない。
- 鑑賞
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巻第十五 恋歌五 926
詞書「題しらず」
住吉の岸から向かいに見える淡路島の名の響きのように、ああいとしいとあなたのことを口にしない日は一日もない、と詠む歌である。目の前の景色を序として、日々絶えることのない恋しさを素直に表している。
作者の「人まろ」は柿本人麻呂である。飛鳥時代の宮廷歌人で、万葉集を代表する歌人として歌聖と仰がれ、三十六歌仙に数えられる。拾遺和歌集には、万葉集の歌が人麻呂の作として多く収められている。
万葉集巻十二に、結句を「言はぬ日はなし」とする類歌が収められている。
初句「住吉の」は、摂津国の住吉の、の意である。住吉は、海辺の景勝の地として名高い歌枕である。
二句「岸に向かへる」は、岸と向かい合っている、の意である。
三句「淡路島」は、住吉の対岸に見える淡路島で、上の三句は「あは」の同音で四句の「あはれ」を導く序詞である。
四句「あはれと君を」は、ああいとしいとあなたのことを、の意である。本巻の第九百五十首の初句「あはれとも」と、「あはれ」の語を共有している。
結句「言はぬ日ぞなき」は、言わない日はない、の意で、係助詞「ぞ」を受けて形容詞「なし」の連体形「なき」で結ぶ係り結びである。
あはぢしま:淡路島。住吉の対岸、大阪湾に浮かぶ島
- 作者
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柿本人麻呂
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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泣く涙世はみな海となりななん 同じ渚に流れ寄るべく
- 次の歌
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捨てはてむ命を今は頼まれよ 逢ふべきことのこの世ならねば