偽りと思ふものから今さらに
誰がまことをか我は頼まむ
- 歌の意味
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あなたの言葉を偽りだと思うものの、今さら誰の真心を私は頼みにしようか。あなたのほかにはいない。
- 鑑賞
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巻第十五 恋歌五 932
詞書は前の歌に続き「題しらず」
あなたの言葉を偽りだと思いながらも、今さら誰の真心を頼みにできようか、と詠む歌である。相手の不実を知りつつも、ほかに頼るべき人もなく、その偽りにすがるほかない恋のやるせなさが詠まれている。
初句「偽りと」は、あなたの言葉は偽りだと、の意である。
二句「思ふものから」は、思うものの、の意で、「ものから」は逆接の接続助詞である。本巻の第九百四十三首、第九百四十四首、第九百四十六首と、「ものから」の語を共有し、相手を疑いながらも思い切れない心を詠む点が通じている。
三句「今さらに」は、今になって、の意である。
四句「誰がまことをか」は、誰の真心を、の意で、係助詞「か」は反語を表し、結句と係り結びをなしている。
結句「我は頼まむ」は、私は頼みにしようか、いや誰も頼めない、の意で、推量の助動詞「む」の連体形で四句の「か」を受けて結んでいる。
まこと:真。真心、本当の心
たのむ:頼む。頼みにする、あてにする
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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在りへむと思ひもかけぬ世の中は なかなか身をぞ嘆かざりける
- 次の歌
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世の中の憂きもつらきも忍ぶれば 思ひ知らずと人や見るらん