恋しきを慰めかねて菅原や
ふしみに来ても寝られざりけり
- 歌の意味
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恋しさを慰めきれずに、菅原の伏見の里までやって来たが、その名のように伏して寝ることもできなかった。
- 鑑賞
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巻第十五 恋歌五 938
詞書は前の歌に続き「題しらず」
恋しさを慰めかねて菅原の伏見までやって来たが、その名の「伏し」のようには寝ることもできなかった、と詠む歌である。心を紛らそうと旅に出ても、恋しさに眠れない夜を過ごす嘆きを、地名に掛けて詠んでいる。
作者の「重之」は、清和天皇の曾孫にあたる源兼信の子で、伯父の源兼忠の養子となった。相模権守などを務めたのち陸奥に下り、その地で没した。三十六歌仙に数えられ、百人一首の「風をいたみ」の歌で知られる。
初句「恋しきを」は、恋しい思いを、の意である。
二句「慰めかねて」は、慰めることができずに、の意である。
三句「菅原や」は、大和国の地名で、伏見の里がある菅原を詠み出している。「や」は語調を整える間投助詞である。
四句「ふしみに来ても」は、伏見に来ても、の意で、「ふしみ」は地名の「伏見」に、横になる意の「伏し」を掛けた掛詞である。
結句「寝られざりけり」は、寝ることができなかった、の意で、「れ」は可能の助動詞「る」の未然形、「けり」は詠嘆を表す。伏見という名にもかかわらず、伏して眠れないことを嘆いている。
ふしみ:大和国の地名「伏見」と、横になる意の「伏し」を掛ける
なぐさむ:慰む。心を晴らす、気を紛らす
- 作者
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源重之
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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恋ひ死なば恋ひも死ねとや玉桙の 道行き人に言伝もなき
- 次の歌
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恋しきは色に出でても見えなくに いかなる時か胸にしむらん