いかでいかで恋ふる心を慰めて
後の世までの物を思はじ
- 歌の意味
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なんとかして、なんとかしてあなたを恋い慕うこの心を慰めて、来世にまで持ち越すような物思いはしないでおきたい。
- 鑑賞
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巻第十五 恋歌五 941
詞書「女に遣はしける」
なんとかしてあなたを恋う心を慰めて、来世にまで持ち越すような物思いはしないようにしたい、と詠む歌である。恋の執着が死後の世にまで残ることを恐れる心を通して、それほどまでに深い恋の思いを相手に訴えている。
詞書によれば、女に贈った歌である。恋の苦しみが来世の障りにもなるほどだと訴えることで、思いの深さを伝えている。
作者の「大中臣能宣」は、大中臣頼基の子で、伊勢神宮の祭主を務めた。梨壺の五人の一人として後撰和歌集の撰進や万葉集の訓読にあたった。三十六歌仙に数えられ、百人一首の「みかきもり」の歌で知られる。
初句「いかでいかで」は、なんとかして、なんとかして、の意で、「いかで」を重ねて願いの強さを表している。
二句「恋ふる心を」は、あなたを恋い慕う心を、の意である。
三句「慰めて」は、慰めて、心を晴らして、の意である。
四句「後の世までの」は、来世にまで持ち越す、の意である。恋の執着が往生の妨げとなるという仏教の考えを背景としている。本巻の第九百二十七首の「この世ならねば」と、この世を越えた先を思う点が通じている。
結句「物を思はじ」は、物思いはするまい、の意で、「じ」は打消の意志を表す助動詞である。
のちのよ:後の世。死後の世界、来世
- 作者
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大中臣能宣
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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忍ばむに忍ばれぬべき恋ならば つらきにつけてやみもしなまし
- 次の歌
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限りなく思ふ心の深ければ つらきも知らぬものにぞありける