これをだに書きぞわづらふ雨と降る
涙を拭ふいとまなければ
- 歌の意味
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せめてこの手紙だけでも書くのに苦労している。雨のように降る涙を拭う暇もないので。
- 鑑賞
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巻第十五 恋歌五 959
詞書は前の歌に続き「題しらず」
せめてこの手紙だけでも書こうとして苦労している、雨のように降る涙を拭う暇もないので、と詠む歌である。恋しい人に思いを伝えようと筆をとっても、とめどなく流れる涙に書き進めることもできない様子を詠んでいる。
初句「これをだに」は、せめてこれだけでも、の意で、「これ」は今書いている手紙を指す。「だに」は最小限を表す。
二句「書きぞわづらふ」は、書くのに苦労している、の意で、係助詞「ぞ」を受けて動詞「わづらふ」の連体形で結んでいる。ここで句切れとなる。
三句「雨と降る」は、雨のように降る、の意である。本巻の第九百五十六首から続く雨の歌を受け、雨を涙にたとえている。
四句「涙を拭ふ」は、涙をぬぐう、の意である。
結句「いとまなければ」は、暇もないので、の意で、二句の理由を倒置によって後から述べている。
かきわづらふ:書き煩ふ。書くのに苦労する
のごふ:拭ふ。ぬぐう
いとま:暇。ひま、余裕
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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降る雨に出でても濡れぬ我が袖の 陰にゐながらひちまさるかな
- 次の歌
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君恋ふる我も久しくなりぬれば 袖に涙もふりぬべらなり