黒髪に白髪交じり生ふるまで
かかる恋にはいまだ逢はざるに
- 歌の意味
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黒髪に白髪が交じって生えるまで年を重ねてきたが、これほどの恋には、まだ出会ったことがないのに。
- 鑑賞
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巻第十五 恋歌五 966
詞書は前の歌に続き「題しらず」
黒髪に白髪が交じるほど年を重ねたが、これほど激しい恋にはまだ出会ったことがない、と詠む歌である。長い人生の経験に照らしても比べるもののない恋に、年を重ねてから出会った驚きと戸惑いが詠まれている。
本歌から第九百六十九首まで、坂上郎女の作とされる歌が四首並んでいる。
作者の「坂上郎女」は、大伴安麻呂の娘で、大伴旅人の異母妹にあたる。万葉集を代表する女性歌人で、大伴家持の叔母であり、娘の坂上大嬢を家持に嫁がせて姑ともなった。
万葉集巻四に、坂上郎女の作として、三句を「老ゆるまで」、結句を「いまだ逢はなくに」とする類歌が収められている。
初句「黒髪に」は、黒い髪に、の意である。
二句「白髪交じり」は、白髪が交じって、の意で、初句の「黒髪」と色を対比している。
三句「生ふるまで」は、生えるまで、の意で、長い年月を経たことを表している。前歌の第九百六十五首の「いにしへも今行く末も」と、長い時の流れを詠む点が通じている。
四句「かかる恋には」は、このような恋には、の意である。
結句「いまだ逢はざるに」は、まだ出会っていないのに、の意で、「に」は詠嘆を込めた逆接を表し、余情を残して結んでいる。
おふ:生ふ。生える
あふ:逢ふ。ここでは、出会う、経験する
- 作者
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大伴坂上郎女
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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我がごとく物思ふ人はいにしへも 今行く末もあらじとぞ思ふ
- 次の歌
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潮満てば入りぬる磯の草なれや 見らく少なく恋ふらくの多き