古典和歌stream

梅の花雪より先に咲きしかど
見る人まれに雪の降りつつ

歌の意味
梅の花は雪よりも先に咲いたけれども、見に来る人はまれで、その上に雪が降り続いている。
鑑賞
巻第十六 雑春歌 1007

詞書「桃園の斎院の屏風に」
 梅の花は雪より先に咲いたのに、見に来る人はまれで、ただ雪が降り続いていると詠む歌である。詞書から、桃園の斎院の屏風の絵に添えた歌とわかる。早く咲いた梅を訪ねる人もないまま、その上に雪が降りかかる寂しい情景を描いている。
 なお本文の二句は「雪よりさきに」とあり、読み仮名の行の「はるよりさきに」と一致しない。ここでは本文の表記に従う。

 初句「梅の花」は、梅の花は、の意である。
 二句「雪より先に」は、雪よりも先に、の意で、結句の「雪」と同じ語を重ねている。
 三句「咲きしかど」は、咲いたけれども、の意で、「しか」は過去の助動詞「き」の已然形、「ど」は逆接の接続助詞である。
 四句「見る人まれに」は、見る人は少なく、の意である。
 結句「雪の降りつつ」は、雪が降り続いている、の意で、「つつ」は反復と継続を表し、言いさして余情を残している。

ももぞののさいゐん:桃園の斎院。桃園の地に住んだ斎院
さいゐん:斎院。賀茂神社に奉仕した未婚の皇女
作者
よみ人しらず
出典
拾遺和歌集
前の歌
東風吹かば匂ひおこせよ梅の花 主なしとて春を忘るな
次の歌
いにし年根こじて植ゑし我が宿の 若木の梅は花咲きにけり