咲かざらむ物とはなしに桜花
面影にのみまだき見ゆらん
- 歌の意味
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咲かないものというわけでもないのに、桜の花は、どうしてまだ咲かないうちから面影にばかり見えるのだろう。
- 鑑賞
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巻第十六 雑春歌 1036
詞書「題しらず」
いずれ必ず咲くものなのに、桜の花はどうしてまだ咲かないうちから、面影にばかり見えるのだろうと詠む歌である。花の咲くのを待ちわびるあまり、まだ見ぬ花の姿が心に浮かんでしまう思いを、問いの形で表している。前の二首に続き、まだ咲かない花を前にした心を詠んでいる。
作者の「みつね」は凡河内躬恒である。古今和歌集の撰者の一人で、三十六歌仙に数えられる。
初句「咲かざらむ」は、咲かないだろう、の意で、「ざら」は打消の助動詞「ず」の未然形、「む」は推量の助動詞である。次歌の第千三十七首の三句「咲かざらむ」と同じ語を共有している。
二句「物とはなしに」は、ものというわけでもないのに、の意である。
三句「桜花」は、桜の花が、の意である。
四句「面影にのみ」は、心に浮かぶ姿としてばかり、の意である。
結句「まだき見ゆらん」は、早くも見えるのだろうか、の意で、「まだき」は、まだその時にならないうちに、の意、「らん」は原因を推量する助動詞である。
おもかげ:面影。心に浮かぶ姿
- 作者
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凡河内躬恒
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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春風は花のなき間に吹きはてね 咲きなば思ひなくて見るべく
- 次の歌
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何処にかこの頃花の咲かざらむ 所からこそ尋ねられけれ