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世の中にうれしき物は思ふどち
花見て過ぐす心なりけり

歌の意味
世の中でうれしいものは、気の合う者同士で花を見て過ごす、その心であった。
鑑賞
巻第十六 雑春歌 1047

詞書「円融院御時三尺御屏風に、花の木のもとに人々集まり居たる所」
 世の中でうれしいものは、気の合う仲間同士で花を見て過ごす心であったと詠む歌である。詞書から、円融天皇の時代の三尺の屏風の、花の木のもとに人々が集まっている場面に添えた歌とわかる。親しい人と花を楽しむ喜びを、素直な言葉で言い切っている。本巻の第千十四首と同じ屏風の歌であり、第千三十九首がひとりで見る花の寂しさを詠んだのとは、反対の喜びを詠んでいる。
 作者の「かねもり」は平兼盛である。光孝天皇の流れをくむ篤行王の子で、臣籍に降って平氏となった。三十六歌仙に数えられ、天徳内裏歌合で壬生忠見と競った、百人一首の「しのぶれど」の歌で知られる。

 初句「世の中に」は、世の中で、の意である。
 二句「うれしき物は」は、うれしいものは、の意で、結句でその答えを示している。
 三句「思ふどち」は、気の合う仲間同士、の意で、本巻の第千三十九首の四句「ひとり見まうき」と対照をなしている。
 四句「花見て過ぐす」は、花を見て過ごす、の意である。
 結句「心なりけり」は、その心であった、の意で、「けり」は気づきの詠嘆を表す。

おもふどち:思ふどち。気の合う仲間同士
作者
平兼盛
出典
拾遺和歌集
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春霞春日の野辺に立ち渡り 満ちても見ゆる都人かな
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