殿守のとものみやつこ心あらば
この春ばかり朝清めすな
- 歌の意味
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殿守の役人たちよ、もし情けがあるならば、この春だけは、朝の掃除をしないでくれ。
- 鑑賞
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巻第十六 雑春歌 1055
詞書「延喜御時、南殿に散り積みて侍りける花を見て」
殿守の役人たちよ、心があるならば、この春だけは朝の掃除をしないでくれと詠む歌である。詞書から、醍醐天皇の時代に、紫宸殿の前に散り積もった桜の花を見て詠んだ歌とわかる。散り敷いた花の美しさを惜しみ、掃き清めてしまう役人たちに呼びかける形で、落花をいとおしむ心を詠んでいる。
作者の源公忠は、光孝天皇の孫にあたる源国紀の子で、醍醐天皇に蔵人として仕え、右大弁に至った。三十六歌仙に数えられる。
なお本文の四句は「この巻はかり」とあるが、読み仮名の行の「このはるはかり」に照らして、「巻」は「春」の誤記とみられる。ここでは「春」として扱う。
初句「殿守の」は、宮中の清掃などを務める殿守の、の意である。
二句「とものみやつこ」は、朝廷に仕える下級の役人よ、の意で、初句と合わせて役人たちへの呼びかけとなっている。
三句「心あらば」は、もし情けがあるならば、の意で、「ば」は未然形について仮定を表す。
四句「この春ばかり」は、この春だけは、の意である。
結句「朝清めすな」は、朝の掃除をしないでくれ、の意で、「な」は禁止の終助詞である。
とのもり:殿守。宮中の清掃や灯火などを務めた主殿寮の役人
とものみやつこ:伴の御奴。朝廷に仕える下級の役人
あさぎよめ:朝清め。朝の掃除
なんでん:南殿。紫宸殿
- 作者
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源公忠
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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久しかれあだに散るなと桜花 瓶に挿せれど移ろひにけり
- 次の歌
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桜花みかさの山の陰しあれば 雪と降れども濡れじとぞ思ふ