卯の花の咲ける垣根に宿りせし
寝ぬに明けぬと驚かれけり
- 歌の意味
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卯の花の咲いている垣根のもとに宿をとった時、まだ寝てもいないのに夜が明けたのかと、はっと気づかされたことだ。
- 鑑賞
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巻第十六 雑春歌 1072
詞書「屏風の絵に」
卯の花の咲く垣根のもとに宿をとった時、まだ寝てもいないのに夜が明けたのかとはっとさせられたと詠む歌である。詞書から、屏風の絵に添えた歌とわかる。夜目にも白く咲く卯の花の明るさを、夜明けの光と見誤った驚きとして描き、卯の花の白さを印象づけている。前歌の第千七十一首と、卯の花の垣根を共有している。
作者の源重之は、源兼信の子で、伯父の源兼忠の養子となった。相模権守などを務め、陸奥で没した。三十六歌仙に数えられ、百人一首の「風をいたみ」の歌で知られる。
初句「卯の花の」は、卯の花の、の意で、前歌の第千七十一首の三句「卯の花の」と同じ句である。
二句「咲ける垣根に」は、咲いている垣根に、の意で、前歌の二句「通ふ垣根の」と「垣根」の語を共有している。
三句「宿りせし」は、宿をとった、の意で、「し」は過去の助動詞「き」の連体形である。
四句「寝ぬに明けぬと」は、寝てもいないのに夜が明けたと、の意で、「寝ぬ」の「ぬ」は打消、「明けぬ」の「ぬ」は完了の助動詞であり、同じ音の「ぬ」を重ねて対比させている。
結句「驚かれけり」は、はっと気づかされたことだ、の意で、「れ」は自発の助動詞「る」の連用形、「けり」は詠嘆を表す。
おどろく:驚く。はっと気づく
やどり:宿り。宿をとること
- 作者
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源重之
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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郭公通ふ垣根の卯の花の 憂きことあれや君が来まさぬ
- 次の歌
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年を経てみ山隠れの郭公 聞く人もなき音をのみぞなく