朝戸開けて眺めやすらん織女の
あかぬ別れの空を恋ひつつ
- 歌の意味
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あなたも今朝は朝戸を開けて、物思いにふけりながら空を眺めているのだろうか。織女が名残惜しく別れていった空を恋い慕いながら。
- 鑑賞
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巻第十七 雑秋歌 1084
詞書「七夕後朝、躬恒がもとに遣はしける」
七夕の翌朝、織女と牽牛が名残惜しく別れた空を恋い慕って、あなたも朝戸を開けて眺めているのだろうかと、友の躬恒に問いかける歌である。詞書から、七夕の翌朝に躬恒のもとへ送った歌とわかる。二星の別れを思いやりつつ、同じ空を眺めているであろう友を思う心を重ねている。躬恒は凡河内躬恒で、貫之とともに古今和歌集の撰者を務めた。
本巻の第千九十四首も、七夕の翌朝に躬恒から贈られた歌への貫之の返歌であり、七夕を機に交わされた二人の贈答が本巻に収められている。
作者の「つらゆき」は紀貫之である。古今和歌集の撰者の中心人物で、仮名序を執筆し、土佐日記を著した。三十六歌仙に数えられる。
初句「朝戸開けて」は、朝、戸を開けて、の意で、六音の字余りの句である。共寝した男女が別れる後朝の朝を思わせる。
二句「眺めやすらん」は、物思いにふけって眺めているのだろうか、の意で、「や」は疑問の係助詞、「らん」は現在推量の助動詞の連体形で、係り結びとなる。ここで句切れとなり、何を思って眺めるのかを下の句で倒置して示している。
三句「織女の」は、織女星の、の意で、「たなばた」と読む。
四句「あかぬ別れの」は、名残惜しい別れの、の意で、前歌の第千八十三首の二句「あかぬ別れも」、本巻の第千九十首の四句「あかぬ別れを」と同じ語を共有している。
結句「空を恋ひつつ」は、空を恋い慕いながら、の意で、「つつ」は継続を表す接続助詞である。
ながむ:眺む。物思いにふけってぼんやりと見やる
きぬぎぬ:後朝。共寝した男女が翌朝別れること
- 作者
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紀貫之
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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七夕のあかぬ別れもゆゆしきを 今日しもなどか君が来ませる
- 次の歌
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渡し守はや舟隠せ一年に 二たび来ます君ならなくに