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秋風は吹きな破りそ我が宿の
あばら隠せる蜘蛛のすがきを

歌の意味
秋風よ、吹き破らないでおくれ。私の家の荒れてすき間だらけのところを隠している、蜘蛛の巣を。
鑑賞
巻第十七 雑秋歌 1111

詞書「三百六十首の中に」
 秋風に、荒れてすき間だらけの我が家を隠してくれている蜘蛛の巣を吹き破らないでくれと呼びかける歌である。詞書から、一年を三百六十首に詠んだ毎月集の中の一首とわかる。蜘蛛の巣さえ頼みとする貧しい住まいのさまを、ユーモアを交えて描いている。
 作者の「よしたた」は曾禰好忠である。丹後掾を務めたことから曾丹と呼ばれた。一年を三百六十首に詠む毎月集を作り、日常の言葉を大胆に取り入れた新しい歌風で知られる。

 初句「秋風は」は、秋風は、の意である。
 二句「吹きな破りそ」は、吹き破らないでくれ、の意で、「な…そ」は禁止を表す。ここで句切れとなる二句切れの歌である。
 三句「我が宿の」は、私の家の、の意で、本巻の第千百九首の三句「我が宿に」、第千百十三首、第千百十四首の三句「我が宿の」と同じ語を共有している。
 四句「あばら隠せる」は、荒れてすき間の多いところを隠している、の意で、「る」は存続の助動詞「り」の連体形である。
 結句「蜘蛛のすがきを」は、蜘蛛の巣を、の意で、二句の目的語を倒置して結んでいる。巻頭の第千八十二首の三句「ささがにの」と、蜘蛛の糸を詠む点で通じている。

あばら:荒れてすき間の多いこと。また、そのような家
すがき:巣掻き。蜘蛛が糸を張って作った巣
作者
曾禰好忠
出典
拾遺和歌集
前の歌
庭草に村雨降りてひぐらしの 鳴く声聞けば秋は来にけり
次の歌
住の江の松を秋風吹くからに 声うちそふる沖つ白浪