老いが世に憂きこと聞かぬ菊だにも
うつろふ色はありけりと見よ
- 歌の意味
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長寿をもたらすとされ、つらいことなど知らないはずの菊でさえ、色が移ろうことはあったのだと、この花を見てほしい。
- 鑑賞
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巻第十七 雑秋歌 1122
詞書「物妬みし侍りける男、離れ侍りて後に、菊の移ろひて侍りけるを遣はすとて」
長寿をもたらし、つらいことなど知らないはずの菊でさえ、色が移ろうことはあるのだと、この花を見てほしいと詠む歌である。詞書から、嫉妬深かった男と別れた後に、色の移ろった菊を送るにあたって詠んだ歌とわかる。花の色の移ろいに人の心の移ろいを重ね、心変わりは避けがたいものだと、菊に託して伝えている。
初句「老いが世に」は、老いの世にあって、の意で、菊は老いを退け長寿をもたらす花とされていた。
二句「憂きこと聞かぬ」は、つらいことなど知らない、の意である。
三句「菊だにも」は、菊でさえも、の意で、「だに」は軽いものを挙げて重いものを類推させる副助詞である。前歌の第千百二十一首の三句「菊の花」と、菊を詠む歌が並んでいる。
四句「うつろふ色は」は、色が移り変わることは、の意で、花の色があせることに、人の心変わりを重ねている。
結句「ありけりと見よ」は、あったのだと見てほしい、の意で、「けり」は気づきの詠嘆、「見よ」は命令形である。
うつろふ:移ろふ。花の色が変わりあせる。人の心が変わる意にも用いる
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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吹く風に散るものならば菊の花 くもゐなりとも色は見てまし
- 次の歌
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我妹子が赤裳濡らして植ゑし田を 刈りて収めむ倉無の浜