- 歌の意味
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旅人が故郷に帰るのだと見て、竜田姫は、紅葉の錦を空から旅人に着せかけているのだろうか。
- 鑑賞
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巻第十七 雑秋歌 1129
詞書「旅人の紅葉のもと行く方描ける屏風に」
旅人が故郷に帰るのだと見て、秋の女神の竜田姫が、紅葉の錦を空から着せかけているのだろうかと詠む歌である。詞書から、旅人が紅葉の下を行く絵を描いた屏風に添えた歌とわかる。立身して故郷に帰ることを「錦を着て帰る」というのにちなみ、旅人に降りかかる紅葉を、竜田姫が着せる錦に見立てている。
作者の大中臣能宣である。伊勢神宮の祭主を務めた神官の家の人で、梨壺の五人の一人として後撰和歌集の撰進にあたった。三十六歌仙に数えられる。
初句「古里に」は、故郷に、の意で、次歌の第千百三十首の二句「古里なれや」と、故郷を詠む点で並んでいる。
二句「帰ると見てや」は、帰るのだと見てか、の意で、「や」は疑問の係助詞であり、結句の「らん」と呼応している。
三句「竜田姫」は、秋をつかさどる女神である。
四句「紅葉の錦」は、色とりどりの紅葉を錦に見立てた語で、次歌の第千百三十首の三句から四句「紅葉葉の錦を」と同じ見立てを共有している。
結句「空に着すらん」は、空から着せかけているのだろうか、の意で、「着す」は着せる意、「らん」は現在推量の助動詞の連体形で、二句の「や」を受けた係り結びである。
たつたひめ:竜田姫。秋をつかさどる女神
きす:着す。着せる
- 作者
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大中臣能宣
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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小倉山峰の紅葉葉心あらば 今ひとたびのみゆき待たなん
- 次の歌
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白浪は古里なれや紅葉葉の 錦を着つつ立ち帰るらん