祝子が斎ふ社の紅葉葉も
標をば越えて散るといふものを
- 歌の意味
-
神官が大切に祭り守る神社の紅葉の葉でさえ、しめ縄を越えて外に散るというのに。
- 鑑賞
-
巻第十七 雑秋歌 1135
詞書「題しらず」
神官が大切に祭り守る神社の紅葉でさえ、しめ縄を越えて外へ散るというのにと詠む歌である。神域を示すしめ縄を越えて散る紅葉を持ち出し、厳しく隔てられたものも境を越えることがあるはずだと、隔てを越えたい思いを託したものと解される。
初句「祝子が」は、神官が、の意である。
二句「斎ふ社の」は、けがれを避けて大切に祭り守る神社の、の意である。
三句「紅葉葉も」は、紅葉した葉でさえも、の意である。
四句「標をば越えて」は、しめ縄を越えて、の意で、「をば」は「を」を強めた言い方である。
結句「散るといふものを」は、散るというのに、の意で、「ものを」は逆接と詠嘆を表す。
はふりこ:祝子。神に仕える神職
いはふ:斎ふ。けがれを避けて大切に祭り守る
しめ:標。神域を示すために張る縄、注連縄
- 作者
-
よみ人しらず
- 出典
-
拾遺和歌集
- 前の歌
-
いかで猶網代の氷魚に言問はむ 何によりてか我を訪はぬと
- 次の歌
-
いかなれば紅葉にもまだ飽かなくに 秋果てぬとは今日を言ふらん