時雨つつふりにし宿の言の葉は
かきあつむれど止まらざりけり
- 歌の意味
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時雨が降り続いて古びてしまった家の言の葉は、木の葉をかき集めるように書き集めてみたけれども、多くは残っていなかったことだ。
- 鑑賞
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巻第十七 雑秋歌 1141
詞書「天暦御時、伊勢が家の集召したりければ、参らすとて」
時雨が降り続いて古びた家の言の葉は、かき集めてみたけれども、多くは残っていなかったと詠む歌である。詞書から、村上天皇の御代に、天皇が伊勢の家集を差し出すよう命じたので、それを献上する折に添えた歌とわかる。作者の中務は伊勢の娘であり、時雨に散る木の葉に、年月とともに散り失せた母の歌を重ね、集めきれなかったことを謙遜を込めて詠んでいる。
次歌の第千百四十二首は、この歌への村上天皇の返歌である。
作者の中務は、宇多天皇の皇子敦慶親王と歌人伊勢との間に生まれた女性で、母とともに歌人として名高い。三十六歌仙に数えられる。
初句「時雨つつ」は、時雨が降り続いて、の意で、前の第千百三十八首から第千百四十首までの時雨の歌の流れを受けている。
二句「ふりにし宿の」は、「ふり」が時雨が「降り」と、家が「古り」を掛ける掛詞で、古びてしまった家の、の意となる。母伊勢の家をいう。
三句「言の葉は」は、和歌は、の意で、「葉」は時雨や木の葉と縁語をなす。次歌の第千百四十二首の三句「言の葉は」と同じ語を共有している。
四句「かきあつむれど」は、「かき」が落ち葉を「掻き」集むと、歌を「書き」集むを掛ける掛詞で、集めてみたけれども、の意となる。
結句「止まらざりけり」は、残っていなかったことだ、の意で、「ざり」は打消の助動詞、「けり」は気づきの詠嘆を表す。
ふる:時雨が「降る」意と、家が「古る」意を掛ける
ことのは:言の葉。和歌
かきあつむ:落ち葉を「掻き集む」意と、歌を「書き集む」意を掛ける
- 作者
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中務
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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紅葉葉や袂なるらん神無月 時雨るるごとに色のまされば
- 次の歌
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昔より名高き宿の言の葉は このもとにこそ落ち積もるてへ