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昔より名高き宿の言の葉は
このもとにこそ落ち積もるてへ

歌の意味
昔から名高い家の言の葉は、木の下に落ち葉が積もるように、この本にこそ落ち積もっているというではないか。
鑑賞
巻第十七 雑秋歌 1142

詞書「御返し」
 昔から名高い家の言の葉は、木の下に落ち葉が積もるように、この本にこそ積もっているというではないかと詠む歌である。前歌の第千百四十一首への返歌で、多くは残っていないと謙遜した中務に対し、名高い伊勢の家の歌は、この家集に十分に集まっているとたたえている。「このもと」に「木の下」と「この本」を掛け、前歌の木の葉の見立てを受けて応じている。
 作者の「天暦御製」は村上天皇である。醍醐天皇の皇子で、その治世は天暦の治とたたえられた。和歌を好み、梨壺に和歌所を置いて後撰和歌集の撰進を命じた。

 初句「昔より」は、昔から、の意である。
 二句「名高き宿の」は、名高い家の、の意で、歌人として名高い伊勢の家をいう。前歌の第千百四十一首の二句「ふりにし宿の」を受けている。
 三句「言の葉は」は、和歌は、の意で、前歌の第千百四十一首の三句と同じ語を共有している。
 四句「このもとにこそ」は、「このもと」が「木の下」と、献上された家集を指す「この本」を掛ける掛詞である。係助詞「こそ」は結句の已然形「てへ」と呼応して係り結びとなる。
 結句「落ち積もるてへ」は、落ち積もっているというではないか、の意で、「てへ」は「と言ふ」がつづまった「てふ」の已然形である。前歌の結句「止まらざりけり」に対し、積もると応じている。

このもと:「木の下」と、伊勢の家集を指す「この本」を掛ける
てふ:「と言ふ」がつづまった語。結句の「てへ」はその已然形
作者
村上天皇
出典
拾遺和歌集
前の歌
時雨つつふりにし宿の言の葉は かきあつむれど止まらざりけり
次の歌
山賤の垣ほわたりをいかにぞと 霜かれがれに訪ふ人もなし