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ちはやぶる神の斎垣に雪降りて
空よりかかる木綿にぞありける

歌の意味
神の社の斎垣に雪が降り積もって、それは空から掛けられた木綿であったことだ。
鑑賞
巻第十七 雑秋歌 1150

詞書「題しらず」
 神の社の垣に雪が降り積もったさまを、空から掛けられた白い木綿であったと見立てる歌である。神事に榊などに掛ける白い木綿に雪を重ね、神域に降る雪の清らかさを描いている。前歌の第千百四十九首に続き、神に関わる歌である。
 なお本文の三句は「事ふりて」とあるが、読み仮名の行の「ゆきふりて」に照らして、「事」は「雪」の誤記とみられる。ここでは「雪」として扱う。

 初句「ちはやぶる」は、「神」にかかる枕詞である。
 二句「神の斎垣に」は、神社の周囲にめぐらした垣に、の意である。本巻の第千百三十五首の四句「標をば越えて」と、神域の境を詠む点で通じている。
 三句「雪降りて」は、雪が降って、の意である。次の第千百五十一首から第千百五十三首まで、雪を詠む歌が続いている。
 四句「空よりかかる」は、空から掛けられた、の意である。
 結句「木綿にぞありける」は、木綿であったことだ、の意で、係助詞「ぞ」を受けて、気づきの詠嘆を表す「けり」の連体形「ける」で結ぶ係り結びである。

いがき:斎垣。神社の周囲にめぐらした垣
ゆふ:木綿。楮の皮の繊維で作った白い糸で、神事に榊などに掛けた
作者
よみ人しらず
出典
拾遺和歌集
前の歌
あしひきの山ゐに摺れる衣をば 神に仕ふるしるしとぞ思ふ
次の歌
独り寝は苦しきものと懲りよとや 旅なる夜しも雪の降るらん