花の色も常磐ならなんなよ竹の
長きよに置く露しかからば
- 歌の意味
-
花の色も、竹のようにいつまでも変わらずにあってほしい。なよ竹の長い節に、長い世にわたって置く露が、花にもかかるならば。
- 鑑賞
-
巻第十八 雑賀 1161
詞書「九条右大臣五十賀屏風に、竹ある所に花の木近くあり」
なよ竹の長い節に長い世にわたって置く露が花にもかかるならば、花の色も竹のように変わらずにあってほしいと詠む歌である。詞書から、九条右大臣藤原師輔の五十歳の祝いの屏風に、竹のそばに花の木がある場面に添えた歌とわかる。常緑の竹に長寿を、花に華やかな栄えを重ね、竹の露を受けた花もいつまでも色を保つようにと、祝われる人の栄えが長く続くことを願っている。
作者の「もとすけ」は清原元輔である。清少納言の父で、梨壺の五人の一人として後撰和歌集の撰進にあたった。三十六歌仙に数えられる。
初句「花の色も」は、花の色も、の意で、詞書の竹のそばの花の木をいう。「も」は竹と同じく、の意を込めている。
二句「常磐ならなん」は、いつまでも変わらずにあってほしい、の意で、「なん」は他に対する願望を表す終助詞である。ここで句切れとなる二句切れの歌で、下の句は条件を倒置して示している。
三句「なよ竹の」は、細くしなやかな竹の、の意である。本巻の第千百七十七首の四句「竹の緑は」とともに、変わらぬ竹の緑を祝いに詠んでいる。
四句「長きよに置く」は、「よ」が竹の「節」と「世」を掛ける掛詞である。竹の長い節に置く、長い世にわたって置く、の二つの意を重ねている。「節」は三句の「なよ竹」の縁語である。
結句「露しかからば」は、露がかかるならば、の意で、「し」は強めの副助詞、「ば」は未然形について仮定を表す。竹の露が花にもかかれば、と条件を示している。
ときは:常磐。いつまでも変わらないこと
なよたけ:なよ竹。細くしなやかな竹
よ:竹の「節(よ)」と、「世」を掛ける
- 作者
-
清原元輔
- 出典
-
拾遺和歌集
- 前の歌
-
はるばると雲居をさして行く舟の 行く末遠く思ほゆるかな
- 次の歌
-
万代を数へむ物は紀の国の 千尋の浜の真砂なりけり