松の根に出づる泉の水なれば
同じき物を絶えじとぞ思ふ
- 歌の意味
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松の根もとから湧き出る泉の水であるので、千年を生きる松と同じものとして、絶えることはあるまいと思う。
- 鑑賞
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巻第十八 雑賀 1164
詞書「賀屏風、人の家に松のもとより泉出でたり」
松の根もとから湧き出る泉の水であるから、松と同じく絶えることはあるまいと詠む歌である。詞書から、賀の屏風に描かれた、人の家の松のもとから泉が湧き出る場面に添えた歌とわかる。千年を生きるという松と、絶えず湧く泉を一つに結び、その家の栄えがいつまでも続くことを祝っている。
作者の紀貫之は、古今和歌集の撰者の中心人物で、仮名序を執筆し、土佐日記を著した。三十六歌仙に数えられる。
初句「松の根に」は、松の根もとに、の意で、長寿の象徴である松を詠んでいる。次歌の第千百六十五首の二句「松にたとへむ」をはじめ、本巻の前半には松を詠む賀の歌が続いている。
二句「出づる泉の」は、湧き出る泉の、の意である。
三句「水なれば」は、水であるので、の意で、「ば」は已然形について原因を表す。
四句「同じき物を」は、松と同じものとして、の意で、松の根から出る水は松と一体であるとする理屈を示している。
結句「絶えじとぞ思ふ」は、絶えることはあるまいと思う、の意で、「じ」は打消の推量、係助詞「ぞ」を受けて連体形の「思ふ」で結ぶ係り結びである。
いづ:出づ。出る、湧き出る
たゆ:絶ゆ。絶える、途切れる
- 作者
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紀貫之
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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苔むさば拾ひもかへむさざれ石の 数をみな取る齢幾世ぞ
- 次の歌
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岩の上の松にたとへむ君々は 世にまれらなる種ぞと思へば