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千年経ん君しいまさばすべらきの
天の下こそうしろやすけれ

歌の意味
千年を生きるあなたがおいでになるならば、天皇の治める天下こそ安心であることだ。
鑑賞
巻第十八 雑賀 1173

詞書「天徳四年右大臣五十賀屏風に」
 千年を生きるあなたがおいでになるならば、天皇の治める天下こそ安心であると詠む歌である。詞書から、天徳四年に右大臣の五十歳の祝いのために作られた屏風に添えた歌とわかる。祝われる右大臣の長寿を、そのまま天下の安泰と結びつけ、国を支える重臣としての存在をたたえている。
 作者の清原元輔は、清少納言の父で、梨壺の五人の一人として後撰和歌集の撰進にあたった。三十六歌仙に数えられる。
 なお本文の三句は「すへらきの」とあり、読み仮名の行の「すめらきの」と一致しない。ここでは本文の表記に従う。

 初句「千年経ん」は、千年を経るであろう、の意で、「ん」は推量の助動詞の連体形である。本巻の第千百六十一首と同じく、右大臣の五十賀を祝う屏風の歌である。
 二句「君しいまさば」は、あなたがおいでになるならば、の意で、「し」は強めの副助詞、「います」は「あり」の尊敬語、「ば」は未然形について仮定を表す。
 三句「すべらきの」は、天皇の、の意である。
 四句「天の下こそ」は、天下こそは、の意で、係助詞「こそ」は結句の已然形で結ぶ係り結びである。
 結句「うしろやすけれ」は、安心である、の意で、形容詞「うしろやすし」の已然形で四句の「こそ」を受けて結んでいる。

います:「あり」の尊敬語。おいでになる
すべらき:天皇
あめのした:天の下。天下、国じゅう
作者
清原元輔
出典
拾遺和歌集
前の歌
心ざし深きみぎはに刈るこもは 千歳の五月いつか忘れん
次の歌
君が世に今幾度かかくしつつ うれしき事に逢はんとすらん