あめのしたのがるる人のなければや
着てし濡れ衣干るよしもなき
- 歌の意味
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天の下、雨の下から逃れられる人はいないからだろうか、着せられた濡れ衣は、乾かす手立てもないことだ。
- 鑑賞
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巻第十九 雑恋 1216
詞書「流され侍りける時」
天の下から逃れられる人はいないからか、着せられた濡れ衣は乾かす手立てもないと詠む歌である。詞書から、大宰府に流された時の歌とわかる。「天の下」に「雨の下」を掛け、雨の下では濡れた衣が乾かないように、この世では無実の罪を晴らすすべがないと、讒言によって左遷された無念を詠んでいる。前歌の第千二百十五首が世の人一般の濡れ衣を詠んだのに対し、ここでは我が身に着せられた濡れ衣を嘆いている。
作者の「贈太政大臣」は菅原道真である。菅原是善の子で、宇多天皇に重用されて右大臣に至ったが、大宰権帥に左遷され、配所で没した。のちに太政大臣を追贈された。百人一首の「このたびは」の歌で知られる。
なお本文の結句は「ひるよしもなき」とあり、読み仮名の行の「ひるよしもなし」と一致しない。ここでは本文の表記に従う。
初句「あめのした」は、「天の下」と「雨の下」を掛ける掛詞である。前歌の第千二百十五首の四句「あめのしたにし」と、同じ掛詞を共有している。
二句「のがるる人の」は、逃れられる人が、の意である。
三句「なければや」は、いないからだろうか、の意で、「ば」は已然形について原因を表し、係助詞「や」は結句の連体形「なき」で結ぶ係り結びである。
四句「着てし濡れ衣」は、着せられた濡れ衣、の意で、「てし」は完了と過去の助動詞である。前歌の第千二百十五首の初句「濡れ衣を」と、「濡れ衣」の語を共有している。
結句「干るよしもなき」は、乾かす手立てもない、の意で、三句の「や」を受けて形容詞「なし」の連体形「なき」で結んでいる。濡れ衣が乾かないことに、無実の罪の晴れないことを重ねている。
あめのした:「天の下」と「雨の下」を掛ける
ぬれぎぬ:濡れ衣。身に覚えのない罪
ひる:干る。乾く
よし:由。手段、方法
- 作者
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菅原道真
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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濡れ衣をいかが着ざらん世の人は あめのしたにし住まんかぎりは
- 次の歌
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いづくとも所定めぬ白雲の かからぬ山はあらじとぞ思ふ