沖つ波たかしの浜の浜松の
名にこそ君を待ちわたりつれ
- 歌の意味
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沖の波が高い高師の浜の浜松の、その松の名のとおりに、あなたをずっと待ち続けていたのだ。
- 鑑賞
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巻第十九 雑恋 1240
詞書「和泉国に侍りけるほどに、忠房朝臣大和より送れる返し」
沖の波が高い高師の浜の浜松の名のとおりに、あなたをずっと待ち続けていたと詠む歌である。詞書から、作者が和泉国にいた頃、大和から藤原忠房が送ってきた歌への返しとわかる。和泉国の歌枕である高師の浜を持ち出し、「松」の名に「待つ」を重ねて、友からの便りを待ちわびていた思いを伝えている。藤原忠房は、管弦に通じ、古今和歌集にも歌が見える歌人である。
作者の「つらゆき」は紀貫之である。古今和歌集の撰者の中心人物で、仮名序を執筆し、土佐日記を著した。三十六歌仙に数えられる。
初句「沖つ波」は、沖の波、の意で、二句の「たかし」を導いている。
二句「たかしの浜の」は、「たかし」が波が「高し」と、和泉国の地名「高師」を掛ける掛詞である。
三句「浜松の」は、浜辺の松の、の意で、四句の「名」に続き、松の名から「待つ」を導いている。
四句「名にこそ君を」は、その名のとおりに、あなたを、の意で、係助詞「こそ」は結句の已然形「つれ」で結ぶ係り結びである。
結句「待ちわたりつれ」は、待ち続けていたのだ、の意で、「わたる」は動作が続く意、「つれ」は完了の助動詞「つ」の已然形である。
たかし:波が「高し」の意と、和泉国の地名「高師」を掛ける
まちわたる:待ち渡る。待ち続ける
- 作者
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紀貫之
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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石見なる高間の山の木の間より 我が振る袖を妹見けんかも
- 次の歌
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君をのみ思ひやりつつ神よりも 心のそらになりし宵かな