君をのみ思ひやりつつ神よりも
心のそらになりし宵かな
- 歌の意味
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あなたのことばかり思いやりながら、雷が空に鳴るよりも、私の心のほうが上の空になってしまった宵であったよ。
- 鑑賞
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巻第十九 雑恋 1241
詞書「神いたく鳴り侍りける朝に、宣耀殿の女御のもとに遣はしける」
あなたのことばかり思いやって、雷が空に鳴るよりも、私の心のほうが上の空になった宵であったと詠む歌である。詞書から、雷がひどく鳴った翌朝に、宣耀殿の女御のもとに送った歌とわかる。雷を恐れているであろう女御の身を案じ続けた昨夜の思いを、「空」と「上の空」、「鳴り」と「成り」を掛けて伝えている。宣耀殿の女御は、藤原師尹の娘の芳子で、村上天皇の寵愛を受けた。
作者の「天暦御製」は村上天皇である。醍醐天皇の皇子で、その治世は天暦の治と称され、後撰和歌集の撰集を命じた。
初句「君をのみ」は、あなたのことばかり、の意で、「のみ」は限定を表す。
二句「思ひやりつつ」は、思いやりながら、の意で、「つつ」は継続を表す。
三句「神よりも」は、雷よりも、の意で、「神」は雷をいう。
四句「心のそらに」は、「そら」が雷の鳴る「空」と、上の空の「そら」を掛ける掛詞である。
結句「なりし宵かな」は、「なり」が雷が「鳴り」と、心が上の空に「成り」を掛ける掛詞である。「し」は過去の助動詞「き」の連体形、「かな」は詠嘆を表す。
かみ:神。雷
そら:雷の鳴る「空」と、上の空の「そら」を掛ける
なる:雷が「鳴る」意と、心が上の空に「成る」意を掛ける
- 作者
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村上天皇
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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沖つ波たかしの浜の浜松の 名にこそ君を待ちわたりつれ
- 次の歌
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思ひやる越の白山知らねども 一夜も夢に越えぬ日ぞなき