- 歌の意味
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春日山は雲のかなたに隠れて遠いけれど、私は家のことは思わず、ただあなたのことを思っている。
- 鑑賞
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巻第十九 雑恋 1244
詞書「題しらず」
春日山は雲のかなたに隠れて遠いけれど、家のことは思わず、ただあなたのことを思っていると詠む歌である。旅の途中、遠く隔たった故郷の春日山を振り返りながらも、心にかかるのは家ではなく恋しい人であると、ひたすらな思いを詠んでいる。前歌の第千二百四十三首に続き、相手を一途に思う心を詠む歌である。
作者の「人まろ」は柿本人麻呂である。持統天皇、文武天皇の時代に仕えた宮廷歌人で、歌聖と称される。三十六歌仙に数えられる。
初句「春日山」は、大和国の春日山で、奈良の都の東にある山である。
二句「雲居隠れて」は、雲のかなたに隠れて、の意で、遠く隔たったさまをいう。
三句「遠けれど」は、遠いけれど、の意で、「ど」は逆接の接続助詞である。
四句「家は思はず」は、家のことは思わない、の意で、結句の「君」と対をなしている。
結句「君をこそ思へ」は、あなたのことを思っている、の意で、係助詞「こそ」を受けて已然形の「思へ」で結ぶ係り結びである。前歌の第千二百四十三首の結句「君を思へば」と、「君を思ふ」の語を共有している。
くもゐ:雲居。雲のある遠い空、はるかかなた
- 作者
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柿本人麻呂
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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山科の木幡の里に馬はあれど 徒歩よりぞ来る君を思へば
- 次の歌
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我が背子を恋ふるも苦し暇あらば 拾ひて行かむ恋忘れ貝