君見ればむすぶの神ぞ恨めしき
つれなき人を何作りけん
- 歌の意味
-
あなたを見ると、縁を結ぶ神が恨めしい。こんなにつれない人を、どうして作ったのだろうか。
- 鑑賞
-
巻第十九 雑恋 1265
詞書「題しらず」
あなたを見ると縁を結ぶ神が恨めしい、こんなにつれない人をどうして作ったのかと詠む歌である。万物を生み出し、男女の縁を結ぶとされる神に恨みの矛先を向け、これほど心ひかれるのに冷たい人をなぜこの世に作ったのかと、かなわぬ恋の苦しさを訴えている。次歌以降の、神に恋の思いを向ける歌へと続いている。
初句「君見れば」は、あなたを見ると、の意で、「ば」は已然形について条件を表す。
二句「むすぶの神ぞ」は、万物を生み出し、男女の縁を結ぶ神が、の意で、係助詞「ぞ」は三句の連体形「恨めしき」で結ぶ係り結びである。
三句「恨めしき」は、恨めしい、の意で、ここで句切れとなる三句切れの歌である。本巻の第千二百六十七首の二句と三句「稲荷の神もつらきかな」と、恋の恨みを神に向ける点で通い合っている。
四句「つれなき人を」は、冷淡な人を、の意である。
結句「何作りけん」は、どうして作ったのだろうか、の意で、「けん」は過去の原因を推量する助動詞である。
むすぶのかみ:産霊の神。万物を生み出す神。男女の縁を結ぶ神ともされる
- 作者
-
よみ人しらず
- 出典
-
拾遺和歌集
- 前の歌
-
御狩する駒のつまづく青つづら 君こそ我はほだしなりけれ
- 次の歌
-
いづれをかしるしと思はむ三輪の山 ありとしあるは杉にぞありける