いかにせんしのぶの草も摘みわびぬ
かたみと見えしこだになければ
- 歌の意味
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どうしたらよいのだろう。亡き人を偲ぶしのぶ草も摘みかねている。形見と思えた子さえ、摘んだ草を入れる籠さえ、もうないので。
- 鑑賞
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巻第二十 哀傷 1310
詞書「妻亡くなりてのちに、子も亡くなりにける人を、訪ひに遣はしたりければ」
どうしたらよいのか、しのぶ草も摘みかねている、形見と思えた子さえいないのでと詠む歌である。詞書から、妻を亡くした後、子までも亡くした人のもとに見舞いを送ったところ、その返事として詠まれた歌とわかる。草を摘む縁で「籠」と「子」、「筐」と「形見」を掛け、妻の形見として慈しんできた子までも失い、亡き人を偲ぶよすがさえなくなった深い嘆きを詠んでいる。
初句「いかにせん」は、どうしたらよいのだろう、の意で、ここで句切れとなる初句切れの歌である。
二句「しのぶの草も」は、「しのぶ」が草の名の「忍ぶ草」と、亡き人を「偲ぶ」を掛ける掛詞である。
三句「摘みわびぬ」は、摘みかねている、の意で、「わぶ」は思うようにできずに困る意を表す。ここで句切れとなる。
四句「かたみと見えし」は、「かたみ」が「形見」と、摘んだ草を入れる竹籠の「筐」を掛ける掛詞である。
結句「こだになければ」は、「こ」が「子」と、草を入れる「籠」を掛ける掛詞である。「だに」は軽いものを挙げて重いものを類推させる副助詞である。
しのぶ:草の名の「忍ぶ草」と、「偲ぶ」を掛ける
かたみ:「形見」と、竹籠の「筐」を掛ける
こ:「子」と、「籠」を掛ける
つみわぶ:摘み侘ぶ。摘みかねる
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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拾遺和歌集
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恋ふる間に年の暮れなば亡き人の 別れやいとど遠くなりなん
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春は花秋は紅葉と散り果てて 立ち隠るべきこのもともなし