沖つ波寄る荒磯をしきたへの
枕とまきてなれる君かも
- 歌の意味
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沖の波が寄せる荒磯を枕として横たわり、そこに眠っているあなたであることよ。
- 鑑賞
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巻第二十 哀傷 1316
詞書「讃岐の狭岑の島にして、岩屋の中にて亡くなりたる人を見て」
沖の波が寄せる荒磯を枕として横たわっているあなたであることよと詠む歌である。詞書から、讃岐国の狭岑の島で、岩屋の中で亡くなっている人を見て詠んだ歌とわかる。旅の途中で行き倒れ、荒々しい磯を枕に横たわる見知らぬ死者に、家で待つ人のいるであろう身の上を思いやり、深い哀れみを寄せている。
作者の「人まろ」は柿本人麻呂である。持統天皇、文武天皇の時代に仕えた宮廷歌人で、歌聖と称される。三十六歌仙に数えられる。
万葉集の巻二に、狭岑の島で死人を見て詠んだ人麻呂の歌の短歌として、類歌が見える。
初句「沖つ波」は、沖の波、の意である。
二句「寄る荒磯を」は、打ち寄せる荒々しい磯を、の意である。
三句「しきたへの」は、「枕」にかかる枕詞である。
四句「枕とまきて」は、枕として頭にあてて、の意で、「まく」は枕にする意である。
結句「なれる君かも」は、横たわっているあなたであることよ、の意で、「かも」は詠嘆を表す。
まく:枕く。枕にする
しきたへ:敷妙。寝床に敷く布。「枕」などにかかる枕詞として用いる
ありそ:荒磯。荒波の打ち寄せる磯
- 作者
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柿本人麻呂
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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ささなみの志賀の手児らがまかりにし 川瀬の道を見れば悲しも
- 次の歌
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明日知らぬ我が身と思へど暮れぬ間の 今日は人こそ悲しかりけれ