家に行きて我が屋を見れば玉笹の
外に置きける妹が小枕
- 歌の意味
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家に帰って我が家を見ると、笹の葉の外に置いたままの、亡き妻の小枕があることだ。
- 鑑賞
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巻第二十 哀傷 1319
詞書「妻の死に侍りてのち、悲しびて詠める」
家に帰って我が家を見ると、笹の葉の外に亡き妻の小枕が置いたままになっていると詠む歌である。詞書から、妻が亡くなった後、悲しんで詠んだ歌とわかる。葬送を終えて家に帰り、主のいなくなった寝所に残された妻の枕を目にして、改めて妻の不在を思い知らされる悲しみを、具体的な物に託して詠んでいる。
作者の「人まろ」は柿本人麻呂である。持統天皇、文武天皇の時代に仕えた宮廷歌人で、歌聖と称される。三十六歌仙に数えられる。
万葉集の巻二に、妻の死を悲しんで詠んだ泣血哀慟歌の一首として、「家に来て我が屋を見れば玉床の外に向きけり妹が木枕」とする類歌が見える。
なお本文の初句は「家にいきて」とあり、読み仮名の行の「いへにゆきて」と一致しない。ここでは本文の表記に従う。
初句「家に行きて」は、家に帰って、の意で、六音の字余りの句である。
二句「我が屋を見れば」は、我が家を見ると、の意で、「ば」は已然形について条件を表す。
三句「玉笹の」は、美しい笹の、の意で、「玉」は美称である。
四句「外に置きける」は、外に置いたままの、の意で、主のいなくなった枕をいう。
結句「妹が小枕」は、妻の小さな枕、の意で、体言止めである。
いも:妹。男が妻や恋人を親しんで呼ぶ語
こまくら:小枕。小さな枕
たまざさ:玉笹。笹の美称
- 作者
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柿本人麻呂
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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夢とこそ言ふべかりけれ世の中は うつつあるものと思ひけるかな
- 次の歌
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巻向の山辺響きて行く水の 水沫のごとに世をば我が見る