世の中にふるぞはかなき白雪の
かつは消えぬるものと知る知る
- 歌の意味
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この世に生きながらえるのは、はかないことだ。降る白雪が降るそばから消えてゆくように、命もすぐに消えるものと知りながら。
- 鑑賞
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巻第二十 哀傷 1332
詞書「法師にならんとしけるころ、雪の降りければ畳紙に書き置きて侍りける」
この世に生きながらえるのははかない、降る白雪が降るそばから消えるものと知りながら、と詠む歌である。詞書から、出家しようとしていた頃、雪が降ったので懐紙に書き置いた歌とわかる。「経る」に「降る」を掛け、降りながら消えてゆく雪に、いずれは消える命を重ね、それと知りながら俗世にとどまっていることのはかなさを詠んで、出家の決意を示している。高光は応和元年(961)に出家した。前歌の第千三百三十首に続き、出家にかかわる歌である。
作者の藤原高光は、右大臣藤原師輔の子で、若くして出家し、多武峰に住んだことから多武峰少将と呼ばれた。三十六歌仙に数えられる。
初句「世の中に」は、この世に、の意である。
二句「ふるぞはかなき」は、「ふる」が世に「経る」と、雪が「降る」を掛ける掛詞である。係助詞「ぞ」を受けて形容詞の連体形「はかなき」で結ぶ係り結びで、ここで句切れとなる二句切れの歌である。
三句「白雪の」は、白い雪が、の意で、二句の「降る」の縁で詠み込まれている。
四句「かつは消えぬる」は、降るそばから消えてゆく、の意で、「かつ」は一方で、の意を表す。
結句「ものと知る知る」は、ものと知りながら、の意で、「知る」を重ねて、承知の上であることを強めている。
ふる:世に「経る」意と、雪が「降る」意を掛ける
たたうがみ:畳紙。懐に入れておく紙
- 作者
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藤原高光
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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世の中に牛の車のなかりせば 思ひの家をいかで出でまし
- 次の歌
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墨染の色は我のみと思ひしを 憂き世を背く人もあるとか