思ひ知る人もありける世の中を
いつをいつとて過ぐすなるらん
- 歌の意味
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世の無常を思い知って出家する人もいたこの世の中を、私はいつをその時と思って、むなしく過ごしているのだろうか。
- 鑑賞
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巻第二十 哀傷 1335
詞書「成信、重家ら出家し侍りけるころ、左大弁行成がもとに言ひ遣はしける」
世の無常を思い知る人もいたこの世を、いつをその時と思って過ごしているのだろうかと詠む歌である。詞書から、源成信と藤原重家らが出家した頃、左大弁藤原行成のもとに送った歌とわかる。成信と重家は、ともに将来を嘱望された若い貴公子であったが、長保3年(1001)にそろって出家し、世を驚かせた。若い二人が世を捨てたことに心を動かされ、出家の機をいつと定めることもなく俗世に暮らす自分たちを省みて、親しい行成に呼びかけている。
作者の「右衛門督公任」は藤原公任である。関白藤原頼忠の子で、権大納言に至った。和漢朗詠集を編み、拾遺抄を撰んだとされる。百人一首の「滝の音は」の歌で知られる。
初句「思ひ知る」は、世の無常を思い知る、の意である。
二句「人もありける」は、人もいた、の意で、出家した成信と重家をいう。
三句「世の中を」は、この世の中を、の意である。
四句「いつをいつとて」は、いつをその時と思って、の意で、出家の時を定めずにいることをいう。
結句「過ぐすなるらん」は、過ごしているのだろうか、の意で、「なる」は断定、「らん」は現在推量の助動詞である。
おもひしる:思ひ知る。身にしみて悟る
- 作者
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藤原公任
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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墨染の衣と見ればよそながら もろともに着る色にぞありける
- 次の歌
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ささなみや志賀の浦風いかばかり 心の内の涼しかるらん