別れより勝りて惜しき命かな
君に再び逢はむと思へば
- 歌の意味
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別れの惜しさにもまさって惜しく思われる命であることだ。あなたにもう一度会おうと思うので。
- 鑑賞
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巻第七 離別歌 477
詞書「有国、大弐になりて下りける時、よみ侍りける」
藤原有国が大宰大弐に任じられて筑紫へ下る時に詠んだ歌である。別れの惜しさよりもいっそう惜しく思われるのは自分の命だ、あなたにもう一度会おうと思うから、と詠む。遠く筑紫へ下る相手との再会を願い、それまで生きていたいという思いを、命を惜しむ形で表している。三句で切り、理由を下の句に置く倒置の構成である。
作者の「前大納言公任」は関白太政大臣藤原頼忠の子である。権大納言に至り、四条大納言と呼ばれた。和漢朗詠集を撰び、詩歌管弦に優れた。中古三十六歌仙の一人で、小倉百人一首にも歌が採られている。
前歌は心だけで旅立つ人を送ると詠み、本歌は再会のために命を惜しむと詠む。ともに都から筑紫へ下る人を送る歌である。
初句「別れより」の「より」は比較の格助詞で、別れの惜しさよりも、の意である。
二句「勝りて惜しき」は、それ以上に惜しい、の意で、三句の「命」にかかる。
三句「命かな」の「かな」は詠嘆の終助詞で、ここで句切れとなる。下の句と倒置の関係にある。
四句「君に再び」は、あなたにもう一度、の意で、遠く筑紫へ下る相手との再会を思う。
結句「逢はむと思へば」の「む」は意志の助動詞、「思へば」は已然形に「ば」が付いた確定条件で、会おうと思うので、の意である。三句の理由を後から示す倒置である。
だいに:大宰府の次官である大宰大弐
くだる:都から地方へ行く
- 作者
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藤原公任
- 出典
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千載和歌集
- 前の歌
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昔見し心ばかりをしるべにて 思ひぞ送るいきの松原
- 次の歌
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鳴き弱る籬の虫もとめがたき 秋の別れや悲しかるらん