ささなみや志賀の浦風いかばかり
心の内の涼しかるらん
- 歌の意味
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ささなみの志賀の浦風が涼しく吹くように、出家したあなたの心の内は、どれほど涼しく澄んでいることだろう。
- 鑑賞
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巻第二十 哀傷 1336
詞書「少納言藤原統理に年ごろ契ること侍りけるを、志賀にて出家し侍ると聞きて言ひ遣はしける」
ささなみの志賀の浦風のように、心の内はどれほど涼しいことだろうと詠む歌である。詞書から、長年親しく約束を交わしていた少納言藤原統理が、志賀で出家したと聞いて送った歌とわかる。湖を渡る志賀の浦風の涼しさに、俗世の迷いを離れた友の心のすがすがしさを重ね、出家した友をたたえるとともに、取り残された自分の思いをにじませている。前歌の第千三百三十五首に続き、知人の出家に寄せた公任の歌である。
作者の「右衛門督公任」は藤原公任である。関白藤原頼忠の子で、権大納言に至った。和漢朗詠集を編み、拾遺抄を撰んだとされる。百人一首の「滝の音は」の歌で知られる。
なお本文の結句は「源しかるらん」とあり、読み仮名の行の「すすしかるらむ」と一致しない。「涼」の誤りとみて、読み仮名の行に従った。また詞書の「統埋」は「統理」の誤りとみて改めた。
初句「ささなみや」は、近江国の志賀にかかる枕詞である。本巻の第千三百十五首の初句「ささなみの」と、同じ志賀の地を導いている。
二句「志賀の浦風」は、志賀の浦を吹く風、の意で、統理が出家した地をいう。
三句「いかばかり」は、どれほど、の意である。
四句「心の内の」は、心の内が、の意で、出家した統理の心をいう。
結句「涼しかるらん」は、涼しいことだろう、の意で、浦風の涼しさに、迷いを離れて澄んだ心を重ねている。「らん」は現在推量の助動詞である。
うらかぜ:浦風。浦を吹く風
ちぎる:契る。約束する
- 作者
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藤原公任
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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思ひ知る人もありける世の中を いつをいつとて過ぐすなるらん
- 次の歌
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こふつくす御手洗川の亀なれば 法の浮木に逢はぬなりけり