春日野の雪を若菜に摘み添へて
今日さへ袖のしをれぬるかな
- 歌の意味
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春日野の雪を若菜に摘み添えて、若菜を摘む今日までも、袖がぐっしょりと濡れてしまったことだ。
- 鑑賞
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巻第一 春歌上 14
詞書「堀河院御時、百首歌奉りける時、若菜の歌とてよめる」
堀河百首で「若菜」を題として詠んだ歌である。春日野で若菜を摘むと、その上に残る雪まで一緒に摘むことになり、袖が濡れてしおれてしまうと詠む。「今日さへ」には、めでたい若菜摘みの今日までも、という意がこめられ、ふだんから濡れがちな袖を思わせる含みがある。
作者の「源俊頼朝臣」は大納言源経信の子の源俊頼である。堀河院歌壇の中心として活躍し、白河院の命により金葉和歌集を撰んだ。千載和歌集の撰者藤原俊成が深く敬った歌人で、本集で最も多くの歌が採られている。
古今和歌集の光孝天皇の歌「君がため春の野に出でて若菜摘む我が衣手に雪は降りつつ」と同じく、若菜摘みと雪とを取り合わせる伝統に立つ。
初句「春日野の」は、大和国の歌枕で若菜摘みの名所である。前歌の第十三首の「飛火野」も春日野の一部で、二首が同じ野の若菜を詠む。
二句「雪を若菜に」は、若菜の上に残る雪を、の意で、雪と若菜が一体となったさまを表す。
三句「摘み添へて」は、若菜に雪を添えて摘む、の意である。
四句「今日さへ袖の」の「さへ」は添加の副助詞で、今日までも、の意となる。
結句「しをれぬるかな」の「しをる」は濡れてしおれる意、「ぬる」は完了の助動詞「ぬ」の連体形、「かな」は詠嘆である。
しをる:濡れてぐっしょりとなる、しおれる
わかな:春の初めに摘む食用の若草
- 作者
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源俊頼
- 出典
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千載和歌集
- 前の歌
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うらやまし雪の下草かき分けて 誰をとふひの若菜なるらむ
- 次の歌
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咲き初むる梅の立ち枝に降る雪の 重なる数をとへとこそ思へ