匂ひもて分かばぞ分かむ梅の花
それとも見えぬ春の夜の月
- 歌の意味
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香りによって見分けるならば、見分けることもできよう、梅の花よ。それとはっきりとは見えない春の夜の月の光の中では。
- 鑑賞
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巻第一 春歌上 20
詞書は前の歌に続き「堀河院御時、百首歌奉りける時、梅花の歌とてよめる」
前歌と同じく堀河百首で「梅花」を題として詠んだ歌である。春の夜のおぼろな月の光の中では、白い梅の花はそれと見分けられないが、香りをたよりにすれば見分けることもできよう、と詠む。目に見えない梅を香りでとらえるという趣向で、春の夜の朧月と梅の香とを重ねている。
作者の「前中納言匡房」は大江匡房である。大江成衡の子で、学者として後三条、白河、堀河の三代の天皇に仕え、権中納言に至った。博識で知られ、堀河百首の作者の一人である。
古今和歌集の凡河内躬恒の歌「月夜にはそれとも見えず梅の花香を尋ねてぞ知るべかりける」と同じ趣向に立つ。
初句「匂ひもて」の「もて」は「もって」の意で、香りによって、の意となる。
二句「分かばぞ分かむ」は、未然形に「ば」が付いた仮定条件に、係助詞「ぞ」と推量の助動詞「む」の連体形との係り結びが続く形で、見分けるならば見分けもつこう、の意となる。
三句「梅の花」は、梅の花への呼びかけで、ここで句切れとなる。
四句「それとも見えぬ」は、梅の花だとはっきりとは見えない、の意である。
結句「春の夜の月」は体言止めで、梅の花を見えなくしている朧な月夜を示し、二句の推量の前提をあとから示す倒置となっている。
わく:区別する、見分ける
- 作者
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大江匡房
- 出典
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千載和歌集
- 前の歌
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今よりは梅咲く宿は心せむ 待たぬに来ます人もありけり
- 次の歌
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梅の花折りてかざしに挿しつれば 衣に落つる雪かとぞ見る