暮れ果てぬ帰さは送れ山桜
誰がために来て惑ふとか知る
- 歌の意味
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すっかり日が暮れてしまった。帰り道は送ってくれ、山桜よ。私がいったい誰のためにここまで来て迷っているのか、わかっているのか。
- 鑑賞
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巻第一 春歌上 61
詞書「尋花日暮といへる心をよめる」
「花を尋ねて日暮る」という題で詠んだ歌である。山桜を尋ねて山に入るうちに、すっかり日が暮れてしまった。山桜よ、帰り道くらいは送ってくれ、私が誰のためにここまで来て道に迷っているのかわかっているのか、と山桜に呼びかけている。花を擬人化して恨み言を述べる、おどけた調子の中に花への愛着がにじむ。
作者の「源俊頼朝臣」は大納言源経信の子の源俊頼である。堀河院歌壇の中心として活躍し、白河院の命により金葉和歌集を撰んだ。千載和歌集の撰者藤原俊成が深く敬った歌人で、本集で最も多くの歌が採られている。
初句「暮れ果てぬ」の「ぬ」は完了の助動詞の終止形で、すっかり日が暮れてしまった、の意となり、初句切れとなる。
二句「帰さは送れ」の「帰さ」は帰り道、帰りがけをいい、「送れ」は命令形で、送ってくれ、と花に求める。本巻の第四十七首は「帰るさ」を急がずに花を見たいと詠んだが、本歌は日暮れの帰り道を花に託している。
三句「山桜」は、山桜への呼びかけである。
四句「誰がために来て」は、いったい誰のために来て、の意で、ほかならぬ山桜のためであることをほのめかす。
結句「惑ふとか知る」の「惑ふ」は道に迷う意で、「か」は疑問の係助詞、「知る」と連体形で結ぶ。次歌の第六十二首も「惑ふ」の語を受け、花ゆえに迷う心を詠む。
かへさ:帰り道、帰りがけ
まどふ:道に迷う、途方に暮れる
- 作者
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源俊頼
- 出典
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千載和歌集
- 前の歌
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咲きぬやと知らぬ山路に尋ね入る 我をば花のしをるなりけり
- 次の歌
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花ゆゑに知らぬ山路はなけれども 惑ふは春の心なりけり