- 歌の意味
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吉野の山の下を吹く風が払いあげているのだろうか。梢へと舞い戻ってゆく、花の白雪よ。
- 鑑賞
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巻第二 春歌下 93
詞書「花の歌とてよめる」
「花」を題として詠んだ歌である。吉野山のふもとを吹く風が、地に散り敷いた花びらを払いあげているのだろうか、白雪のような花びらが梢へと舞い戻ってゆく、と詠む。散った花が再び枝へ帰ってゆくように見える一瞬を、山下風という原因を推し量ることでとらえ、落花の美しさを幻想的に描いている。
作者の「俊恵法師」は源俊頼の子で、東大寺の僧となった。京の白川の自坊を歌林苑と名づけて多くの歌人を集め、鴨長明の師としても知られる。小倉百人一首にも歌が採られている。
本歌から第九十七首までの五首は、いずれも詞書を「花の歌とてよめる」とする一連である。
初句「み吉野の」の「み」は美称の接頭語で、吉野は桜の名所である。本巻の第八十首に続き、吉野の落花を詠む。
二句「山下風や」の「山下風」は山のふもとを吹く風、または山から吹きおろす風をいう。「や」は疑問の係助詞で、三句の「らむ」と係り結びをなす。
三句「払ふらむ」の「らむ」は現在推量の助動詞の連体形で、「や」の結びとなる。目の前の光景の原因を推し量る。ここで句切れとなる。
四句「梢にかへる」は、散った花が枝先へと舞い戻る、の意である。花は根に帰るという言い方とは逆に、梢へ帰ると詠む。本巻の第百二十二首「花は根に」は、散った花が根に帰ると詠む。
結句「花の白雪」は体言止めで、散る花を白雪に見立てる。本巻の第七十九首「麓の雪」と同じく、落花を雪に見立てる趣向である。
やましたかぜ:山のふもとを吹く風、山から吹きおろす風
こずゑ:枝の先、木の先端
- 作者
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俊恵
- 出典
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千載和歌集
- 前の歌
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桜花憂き身にかふるためしあらば 生きて散るをば惜しまざらまし
- 次の歌
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一枝は折りて帰らむ山桜 風にのみやは散らし果つべき