よそにてぞ聞くべかりける桜花
目の前にても散らしつるかな
- 歌の意味
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遠く離れたところで噂に聞いているべきだった。桜の花を、目の前でむざむざと散らせてしまったことだ。
- 鑑賞
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巻第二 春歌下 98
詞書「花の散りけるを見てよみ侍りける」
花が散るのを見て詠んだ歌である。桜の花が散ることは、よそにいて人づてに聞くだけにしておくべきだった、わざわざ目の前で散らせてしまったことよ、と詠む。間近で見たために落花のつらさがいっそう身にしみるという悔いを通して、散る花への深い愛惜を表している。前歌の第九十七首の、尋ねない人こそ心ある人だという思いと響き合う。
作者の「道命法師」は右大将藤原道綱の子で、天台宗の僧となり、天王寺別当を務めた。美声で読経したことで知られ、和泉式部との交流も伝えられる。
初句「よそにてぞ」の「よそ」は離れたところ、無関係の場所をいう。「ぞ」は係助詞で、二句の「ける」と係り結びをなす。
二句「聞くべかりける」の「べかり」は当然を表す助動詞「べし」の連用形、「ける」は「けり」の連体形で「ぞ」の結びとなる。聞くだけにしておくべきだった、という悔いを表す。ここで句切れとなる。
三句「桜花」は、一首の主題を示す。
四句「目の前にても」は、初句の「よそにて」と対をなし、遠くと目の前との対比を作る。
結句「散らしつるかな」の「つる」は完了の助動詞「つ」の連体形、「かな」は詠嘆の終助詞である。自分が散らせたかのように言うことで、目の前で散るのを止められなかった悔いを表す。
よそ:離れたところ、関わりのない場所
- 作者
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道命
- 出典
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千載和歌集
- 前の歌
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山桜散るを見てこそ思ひ知れ 尋ねぬ人は心ありけり
- 次の歌
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桜散る水の面にはせきとむる 花のしがらみかくべかりけり