桜散る水の面にはせきとむる
花のしがらみかくべかりけり
- 歌の意味
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桜の散る水面には、花をせき止める花のしがらみを掛けておくべきだったのだ。
- 鑑賞
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巻第二 春歌下 99
詞書「池に桜の散るを見てよみ侍りける」
池に桜が散るのを見て詠んだ歌である。桜の散る池の水面には、流れ去ろうとする花びらをせき止めるための「花のしがらみ」を掛けておくべきだった、と詠む。川の流れをせき止める柵であるしがらみを、花びらを留めるためのものとして詠み、散った後の花までも惜しむ心を表している。
作者の「能因法師」は俗名を橘永愷といい、出家して摂津国古曽部に住み、諸国を旅して歌を詠んだ。歌枕に通じた歌人として知られ、小倉百人一首にも歌が採られている。
初句「桜散る」は、桜の花びらが池に散るさまをいう。
二句「水の面には」は、水面には、の意である。本巻巻頭近くの第七十八首「池水に」も、池に散る花を詠む。
三句「せきとむる」は、流れをせき止める、の意で、次の「しがらみ」を修飾する。
四句「花のしがらみ」の「しがらみ」は、川の流れをせき止めるために杭を打って竹や柴を絡ませた柵をいう。ここでは花びらを留めるためのしがらみである。次歌の第百首も水に流れる花を詠む。
結句「かくべかりけり」の「かく」は掛ける意で、「べかり」は当然、「けり」は気づきを表す。掛けておくべきだったのだと、今になって悔やむ心を示す。
しがらみ:川の流れをせき止めるために杭を打ち、竹や柴を絡ませた柵
せきとむ:流れをせき止める
かく:掛け渡す
- 作者
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能因
- 出典
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千載和歌集
- 前の歌
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よそにてぞ聞くべかりける桜花 目の前にても散らしつるかな
- 次の歌
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山風に散り積む花の流れずは いかで知らまし谷の下水