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山吹の花の妻とは聞かねども
うつろふなへに鳴くかはづかな

歌の意味
山吹の花の夫であるとは聞いていないけれども、花が色あせて散ってゆくのにつれて、鳴くかはづであることよ。
鑑賞
巻第二 春歌下 117

詞書「百首歌奉りける時、山吹の歌とてよめる」
 崇徳院に百首歌を奉った際に、「山吹」を題として詠んだ歌である。かはづが山吹の花の連れ合いだとは聞いたことがないけれども、山吹の花が色あせて散ってゆくのにつれて、それを嘆くように鳴いているかはづよ、と詠む。山吹とかはづを取り合わせる伝統を踏まえ、花の衰えとともに鳴くかはづの声に、連れ合いを失う悲しみを感じ取っている。山吹の一連はここで結ばれる。
 作者の「藤原清輔朝臣」は左京大夫藤原顕輔の子である。六条藤家の歌学を受け継いだ当代屈指の歌学者で、「袋草紙」などの歌学書を著した。小倉百人一首にも歌が採られている。

 初句「山吹の」は、一首の主題を示す。
 二句「花の妻とは」の「妻」は、夫婦の一方を指し、ここでは連れ合いの意である。かはづを山吹の連れ合いに見立てる。
 三句「聞かねども」の「ね」は打消の助動詞「ず」の已然形、「ども」は逆接で、聞いていないけれども、の意となる。
 四句「うつろふなへに」の「うつろふ」は花の色があせる、散りかける意で、「なへに」は、〜とともに、〜につれて、の意である。
 結句「鳴くかはづかな」の「かな」は詠嘆の終助詞である。本巻の第百十二首「かはづ鳴く」、第百十三首「井手のかはづ」と同じく、山吹とかはづとを取り合わせて山吹の一連を結ぶ。

つま:夫婦の一方、連れ合い
うつろふ:花の色があせる、散りかける
作者
藤原清輔
出典
千載和歌集
前の歌
いかなれば春を重ねて見つれども 八重にのみ咲く山吹の花
次の歌
いづかたに匂ひ増すらむ藤の花 春と夏との岸を隔てて