- 歌の意味
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時鳥が鳴いた方を眺めやると、その姿はなく、ただ有明の月だけが空に残っている。
- 鑑賞
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巻第三 夏歌 161
詞書「暁聞郭公といへる心をよみ侍りける」
「暁聞郭公(暁に時鳥を聞く)」という題で詠んだ歌である。夜明け前に時鳥の一声を聞き、鳴いた方を眺めやると、もうその姿はなく、ただ有明の月だけが空に残っている、と詠む。声の余韻と、声の主の消えた空に残る月とを重ね、耳から目へと移る印象の転換によって、暁の静けさと余情を描いている。小倉百人一首に採られた名歌として広く知られる。
作者の「右のおほいまうちきみ」は藤原実定である。右大臣藤原公能の子で、千載和歌集の成立当時は右大臣であり、のちに左大臣に至った。後徳大寺左大臣と呼ばれ、小倉百人一首にも歌が採られている。
初句「時鳥」は、一首の主題を示す。
二句「鳴きつる方を」の「つる」は完了の助動詞「つ」の連体形で、今鳴いた方を、の意である。
三句「ながむれば」は、已然形に「ば」が付いた確定条件で、眺めやると、の意となる。
四句「ただ有明の」の「有明」は、夜が明けても空に残っている月をいう。本巻の第二百十五首も結句に「有明の月」を置く。
結句「月ぞ残れる」の「ぞ」は係助詞で、「る」と連体形で結ぶ。時鳥の消えたあとに月だけが残る景を示す。前歌の第百六十首が夢に聞く時鳥を願ったのに対し、本歌は目覚めて聞いた暁の時鳥を詠む。
ありあけ:夜が明けても空に残っている月、またその頃
ながむ:じっと見やる
- 作者
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藤原実定
- 出典
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千載和歌集
- 前の歌
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思ふことなき身なりせば時鳥 夢に聞く夜もあらましものを
- 次の歌
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名残なく過ぎぬなるかな時鳥 去年語らひし宿と知らずや