- 歌の意味
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風に散る花橘の香りを袖に染みこませて、その袖を、恋しく思う人の手枕にしよう。
- 鑑賞
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巻第三 夏歌 172
詞書「題しらず」
風に散る花橘の香りを袖にしみこませて、その袖を、恋しく思う人の手枕にしよう、と詠む。花橘の香りを袖に移して恋人と共有しようとする心で、花橘の香が昔の人の袖の香を思い出させるという古歌の趣向を、これから共寝する恋人のための香へと転じている。
作者の「藤原基俊」は右大臣藤原俊家の子である。堀河院歌壇で源俊頼と並び称された歌人で、千載和歌集の撰者藤原俊成の師にあたる。官位には恵まれず、従五位上にとどまった。
初句「風に散る」は、風に吹かれて散る、の意である。
二句「花橘に」は、花橘の香りに、の意である。
三句「袖しめて」の「しむ」は香りを染みこませる意である。前歌の第百七十一首が花橘の香を袖の香になぞらえたのに対し、本歌は花橘の香を袖に移す。
四句「我が思ふ妹が」の「妹」は、男性が妻や恋人を親しんでいう語である。
結句「手枕にせん」の「手枕」は腕を枕にすることで、「ん」は意志の助動詞「む」である。袖に移した香とともに恋人と共寝する思いを示す。
しむ:香りなどを染みこませる
いも:男性が妻や恋人を親しんでいう語
たまくら:腕を枕にすること
- 作者
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藤原基俊
- 出典
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千載和歌集
- 前の歌
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ただならぬ花橘のにほひかな よそふる袖は誰となけれど
- 次の歌
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浮雲のいさよふ宵の村雨に 追風しるく匂ふ橘